違うんだょなぁ、 ぜんぜん、違うよなぁ。 やっぱ、いもうと、妹なんだょ。 だって、 どう考えても・・・ |
するめいか みたい・・ 噛めば噛むほど 味が出る って 感じぃ それとも、多重人格者ぁ?・・ |
携帯電話、ってか? 持ってて当たり前、 なんだょな 居ないと淋しいんだョ |
ぼく・・を 俺・・に変えたのは 紛れもなく、あいつ、だ。 ぼく・・を、boku に変えたのも 俺・・を、ore に変えたのも やっぱり、あいつ、だ。 長い、なが〜い、 あいつとの付き合いは、くっついたり 離れたり・・、の繰り返しだ。 バーチャルの世界に隠れていた俺を リアルの世界に引き戻したのは、 あいつ・・・・・だ。 いっつも、いつも、 走馬灯みたいに、 同じところを、グルグル、ぐるぐる・・ 誰かが止めるまで・・ 誰かが声をかけるまで・・ ちょっと手を伸ばせばいいのに それをしなかった・・ ぼくを boku に そして 俺に変えられた・・・ |
何を、皆焦る? 父は親会社とのこと、兄は転職のこと、そこに俺の休学問題。申し訳ないです、言わない方が良かったのかも?しかし・・俺としては・・・ 時間。そう、空白の時間が欲しい。煩わしい全ての事よりの解放!が、欲しい。 学校なんて、くそ喰らえ!だ。授業なんて、受ける気にならない。全てに、嫌気がさした。 母は、“ひねくれた!”と、言う。そして、子育ての苦労話をこぼす。 “せめて高校だけは、出てちょうだい!” こぼせ、こぼせ!俺だって、言いたいことは山ほどあるサ。でも、口に出してしまえばそれだけのもの。グッとこらえてこそのパワーだ。 [沈黙は金なり] あゝ、また旅に出たくなった。が、だめ!バイトがある。休めない、今は。店の稼ぎ時だ。それにしても、今日は体中の関節が痛む。腰が、疼く。 いやだ、いやだ!と思いつつ、今日も、煩わしい世界をノックする。
あぁ、もうやめてくれ!いい、いい。 俺は、人間が信じられないんじゃない。絶望したとも言わない。唯俺の思うが如くに、事が運ばない、それだけのこと。 “何様のつもりだぁ!” 分かってる、己を過信してるつもりはない。 俺は、誰にも、何にも、求めはしない。望めば望むほど、絶望するだけだ。 それにしても、小説が書きたい。 考える時間、書く時間、少しの休息、そして推敲の時間、欲しい。 それだけの理由での、休学。高校なんて、くそ喰らえ!本音では。 「退学じゃないから、いいジャン!」 貴重な、『今』 と言う時を、逃してたまるか!!!
|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 | |
あいつとの腐れ縁は、たしか・・体育館だったょなぁ。 友人の部活動を待っている時に、[テーマは、愛]を書き上げた。変なタイトルだけど、面白いんじゃないかって自分では感じてた。 ゴーストの男に恋する女性の話だ。恋人がゴーストになったのではなく、あくまでゴーストの男に恋してる。観念的に描いたのだから、構わないんだ。 “ありえな〜い!”って言われそうだけど、いいんだ、いいんだ、これで。 初めは車椅子の男に設定していたけど、陳腐なような気がしてやめた。TVドラマでやってそうだったし。 俺の頭の中にある、「愛」を描きたかったんだから。まだ漠然としたものだけど、世間様の「愛」とはひと味違うんだから。 だけど、postman に言われちゃった。 “日記なら、それでいいだろう。だけど、詩として考えてるなら、一考すべきだな。ゴーストたる彼を、どうして好きになったのかな?好きな彼がゴーストになってしまったというのなら、理解できるょ。でも、それじゃwail の思い描く「愛」にならないんだろ?誰にも見せるつもりなんてない!って、言いたそうだな。けどな、これから十年二十年と経っていくんだ。その時にこの詩を見つけて読んだとしよう。きっと、ぼくの言ってる意味がわかるょ。だけれども、まさしくあれだな。━ 恋に恋する年頃 ━そのものだな。今この時は、現在しかないからね。” |
|
|
|
突然の嬌声。 ほんと、ビックリした。背中越しに覗き込んで、大笑いして。汗の匂いが、俺の鼻をついた。女の汗なんて初めての経験だ。何て言うか、悪くはない匂いだった。どう表現したらいいんだろう?少し柑橘系の匂いがあるような・・。 なんだってんだ、こいつぅ!失礼な奴だ!思わずノートを閉じた。そしてそいつの顔を見ると、見ると、見ると、うーむ、可愛いジャンか!こういうのを、屈託のない笑顔、って言うのかな? 少し丸めの団子っ鼻が、チャームポイントだな。けっこう好きだぜ、こういうの。 |
|
|
|
これが、あいつとの腐れ縁の始まりだった。 |
「キューポラのある街」って映画だったょな、確か。テレビで名作映画として、放送された。すっげえ可愛いの、吉永小百合って。親父なんか “女神様みたいで、後光が射して見えたもんだ”って、言うもんな。だけど、何となく分かる気がするぜ。サユリスト、なんて言葉が流行ったらしいぜ。 だからさ、その吉永小百合に、あいつ似てるんだょ。もっとも、俺一人だけどな、それを言ってるのは。みんな、“似てねぇよ!”って言うけど。そうかなぁ、似てると思うんだけどなぁ。 あいつ、バレーボールの部活をやってんだょ。一年生なんだけど、エース候補らしいんだわ。顧問に気に入られてて、部活終了後に特訓を受けてる。まぁな、そのせいで先輩達からいじめらしきことをされてるみたいだけど。 何で知ってるかというと、俺のダチもバレーボール部だからさ。もっとも、男子と女子と、別々の部なんだけど。男の方は、肩身の狭い思いをしてるょ。何せまだ対外試合で一度も勝ったことのないチームだもんな。 それに比べて女子の方は、名門チームとして名を馳せてる。まっ、ちょっと斜陽だけど。地区大会ではいいところまで行くんだけど、ここ何年か県大会に出場できないでいるから。で、あいつの登場だ。もう一人レシーブのうまい子がいて、二人して徹底的にしごかれてる。来年は、ひょっとして県大会?って、噂だ。 |
どんよりとした曇り空。今朝は、何だか気ずつない。何をするでもなく、取りあえず外に出ることにした。いわゆる、散歩ってやつをしてみることにした。 生まれて初めて・・と言っても、いいと思う。仕事仕事に追われてる親父とはもちろん、お袋とも散歩なんて覚えがない。もっとも、買い物のお供は多々あるけれど。小学生までは良かったょな。お菓子目的で、たゞたゞついて行けばよかったんだから。 中学からだょ、中学。イヤだったょなぁ、もう。荷物持ち専門だったし、女子に出会おうものなら、翌日の学校で・・・。ホワイトボードに大きく書かれるんだょ。他の奴が書かれた時なんかは結構冷やかしたり囃し立てたりしたけれど、自分がやられた時は腹が立つもんだ。それ以来、冷やかすことは一切止めた。 「散歩ったって、どこ行けばいいんだ?」 そうなんだょな、どこに行こう?いつも左に行くから、取りあえず、右に行ってみるかぁ。 100m、いや200mかな?歩いたら少し大きな通りに出た。道に白線が引いてある。車道と歩道がべっこになってるんだ。さすがに車がよく通る、当たり前かぁ。おっと、レンタル店があるジャンか。ちょっと、寄ってみるか。 “トン、トン” 誰かが背中を叩いてきた。振り向くと、なんとまぁ、 「何やってんのぉ、こんな所で。」と、あいつの声。 「えっ、えぇ!お前こそなんだょ。部活は、どうしたんだ!」と、少し詰問調になっちまった。 目の前にスポーツ店の紙袋が差し出されて 「シューズ、買ってきたのぉ。サボりじゃないょ。先生の許可、貰ってるんだから!」と、膨れっ面してた。 俺の奢りで、マックに寄ることになった。そう言えば、朝飯食べてなかったんだ、俺。 「早く戻らなくていいのかぁ?」 「いいの!」 語気鋭く返事が返ってきた。どうやら、また先輩達からのいじめがあったみたいだな。適当に聞き流せばいいものを、ムキになって反論したりなんかするから。もう一人の、えぇっと誰だっけか、名前が思い出せないゃ、あの娘みたいに頷いてりゃいいのに。まっ、この負けん気の強さが、アタッカーには必要だってことだろうさ。 「ねぇねぇ。あの人とはうまくいってるの?」 上目遣いに聞いてきた。まったくドキッとするょ。時々艶っぽいんだょ。 「あぁ?あの人って、だれだょぉ。」 「誰だょ、って、とぼけないのぉ!midori さんのことょ。行ってきたんでしょ、この間。」 「フラレたょ、フラレましたょ。ものの見事に、ね。と言うより、恋人がおみえになりましたぁ。」 「あきれたぁ!年上の女性でしょ!そんなこと、考えてたのぉ?小説のお勉強会だったんでしょ、あれって。」 俺の肩をバンバン叩きやがってぇ。痛いっつうのぉ。 「冗談、冗談だって。勉強になったょ、マジで。目の見えないお年寄りがいてな、俺の詩をほめてくれたょ。どんどん書きなさいって。たくさん書けば書くほど、俺のスタイルが決まってくるんだってさ。」 「ふーん、良かったね。たくさん、書きなさいかぁ。そうだょね、たくさん練習した方がいいよね。“練習は嘘をつかない”って、言うモンね。」 「それはそうとさぁ、kazuko さんと交際うの?」 「な、なんだょ、藪から棒に。」 「あのひと、すっごい美人だもんね。それこそ、もういるんじゃないの?彼氏。」 「ぶぁあーか!関係ねぇよ、そんなこと。彼女とは、おんなじ部活だってことだょ。」 「そぅお?なら、いいんだけどさあ。」 「なんだょ、それ。どういう意味だょ。」 何だか小バカにされたような気がして、ムッとした。 「あのひととは、絶対だめだょ。合わないょ、絶対。」 「なんだょ、それってぇ。なんで決め付けるかなぁ。」 正直のところ、高嶺の花に感じてた。当然のことながらカレシはいるだろうし、俺なんか相手にされないって思ってた。部活の時に話をするだけでイイャ、って思ってた。 |
[学校にいるの。すぐに来て!] 突然のメール。 どう解釈していいのか分からぬまま、放っても置けずにとに角学校に急いだ。 普段の日曜日なら、知らぬ半兵衛を決め込んだかも?部活で校庭は人だかりだろうから。 外に出て、ビックリ!だ。横なぐりの激しい雨。そりゃそうだ、台風だモン。 暴風雨警報!と、テレビもラジオも、がなりたたてる。あいつ、ナニ考えてんだ。 そう言えば、ずいぶんと前だけど、台風の目ってやつに出くわしたことがある。 ポカンと丸く空いてた。真っ青な空で、めちゃめちゃ眩しく感じたなぁ。 真っ暗な校舎が、激しく風雨にさらされてた。人気なんてまるで感じられない。 [いまどこ?] [学校に着いたょ。] [すぐ行くから待ってて。] なんなんだょ、それは。学校に居るんじやないのかょ、まったくぅ! |
よしよし、いい子だねぇ。 あたま、なでなでしてあげるね。 (急に涙ぐみはじめた、emiko) (見る見るうちに、目の中に涙がいっぱいになった、emiko) 良かったぁ、来てくれててぇ。 あたしのことなんか、誰も心配してくれないって思ってた、、 ありがと・・ありがとぉ・・ (俺の背で泣きじゃくる、emiko) |
|
えっ !?ま、まぁな、、 妹分の emi のことだしな、 ほっとけねぇわサ。 |
|
うん、うん、うん。 ほんと、嬉しかったょ。 (ずぶ濡れの、emiko が居た) (ジャージ姿の、emiko が居た) |
|
何だョ、それは。 何で、ジャージーなんだョ? |
|
バレーの練習に来たの。でも、体育館、開いてなかった。 センセを探したけど、誰も居なくて、、、 |
|
そんなもん、当たり前ジャンか! 台風だぞ、お前。暴風雨警報だゾ! |
|
だって、だって・・もうすぐ地区大会が始まるし、 練習試合でもゼゼンだし、ここんとこ調子悪いし、、、 yasue センセー、“自分で考えろ”って、冷たいし、 キャプテンに聞いても、 “エースに教えられるわけないでしょ!”だし、 sayo は彼氏ができて、練習に身が入ってないし、 あたし、どうしていいか分かんなくなって、 とに角、練習するしかないし、・・・ |
あいつも色々あるってことだな、ひとりでかぶっちゃってるぜ。 yasue も yasue だぜ。十六の女の子に、こんなでっけぇプレッシャー与えて、 どうすんだょ。 キャプテンって、誰だったけ?えぇっと、sumi だったっけ? あいつも、器が小せぇなぁ。それとも、emi が生意気なんかぁ? |
ありがとう。 泣いたら、すっきりした。もう、大丈夫! 明日から、バリバリ頑張る。 分かってんの、不調の原因は。スタミナ、スタミナ不足ょ。 “テクニック云々の前に、やるべきことをキチンとやれ!” yasue 先生の言うとおりなのょね。焦りすぎたかも、私。 あたしも頑張るから、そっちも頑張んな。ナニをって、ナニ 言ってんのょ。kazuko さんょ、kazuko さん。 進展してるの、少しは。デート、したの? |
|
うるせぇなぁ。 いいんだょ、俺のことわぁ。 デートぉ? 当たり前ジャンか。俺を、誰だと思ってんだょ。 |
あいつ、まるで余裕がないぞ。 あれじゃあ、その内潰れちまう。ナニ考えてんだょ、みんな。 地区大会でのことが、相当ショックだったみたいだな。いくら中学 で鳴らしたからって、いきなり高校で活躍できるわけないサ。 |
|
だけどょ、kita 高の akemi って娘 凄かったジャンかょ。 同い年齢なんだろ? |
|
akemi と一緒にするのは可哀相だぜ。あっちは、正真正銘の天才だかんナ。 |
エッフェル塔の下のため息を 気まぐれな風はパリの町へ運んだ コートの衿を立てて急ぎ歩く旅人を 冷たい風は囃し立てた 今 風は眠っている 朝 風は又吹くだろう 流れるシャンソンのメロディーは 浮かれた風をグラン=プールへ連れてきた 胸を病む画家達の間を 浮かれた風が囃し立てた セーヌの川に置き忘れられた郷愁さえ 風は吹き飛ばしていた |
||
まーた、訳の分かんないもの書いてるぅ! もう少し分かりやすく書けないのぉ? 風が眠るわけないでしょ、止んだって書きなさいょ。 囃し立てるって、ナニょ。吹き荒れたって、こと? 疲れるのょねぇ、いっつも。 |
||
お前みたいな、がさつな女には分かんねぇよ。いいじゃねぇか、 “素敵な詩ですね。大好きです、わたし。”って言ってくれる女の子が そこら中に居るんだから。 |
||
それは、良ござんした。 ところでさぁ、明日、部活、休みになったの。 で、ね。仕方がないから、一日相手してあげる。 えっ!kazukoさんとデートぉ? あたしが相手できるのって、珍しいんだょ。 |
||
そうは言ってもよぉ、今日の明日じゃなぁ。kazuko、怒るしなぁ。 もうちょっと、だしな。なにがって、なんでも良いだろうがぁ。だから、 また今度ナ。話ならょ、いつでも聞いてやっからょ。 |
まずったょなぁ、実にまずった。 今思えば、あの時だったんだなぁ。あの時あいつに付き合ってたら どんな風になったかは、それは分からない。 |
神に祝福されることのない人間━━悪魔に可愛がられる人間 |
emikoが離れていったわけじゃない。相変わらず突然のメールは、 頻繁に入った。唯、それまでの兄妹ではなく、姉弟に様変わりした ように感じる。 |
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 赤い手が 赤い棍棒で叩き割ったのは 鉄カブト その中から 緑のしみ出る四つ葉のクローバーが 芽生えた その朝 枯れた四つ葉のクローバーに なっていた by postman |
あいつだけだょ、実際。 あいつだけだょ、こんなに親身になってくれる奴は。 |
||
“shizuko さんとも、交際ってたのね。” | ||
“shizuko だぁ?誰だ、それ・・。あぁ、思い出したぁ、 予餞会で一緒になった子かぁ。oreっチの衣装を、 必死こいて作ってくれたんだょな。” |
||
“隠さないのぉ!” | ||
“隠してなんかないさ。交際ってなんか、ねぇよ。 帰りに飯を喰っただけだ。” |
||
“ピーッ、ピ−ッ、ピーッ、の子たちとはどうなの?” | ||
“誰だ、それぇ?” | ||
“隠さないで、って言ってるでしょ!” | ||
“隠してなんか、ないって。マジで知らねぇゾ。” | ||
“ふーん、、、じゃあの子たちが勝手にぃ、、、そういうことかぁ。” | ||
“へへへ、、 oreっチ、結構人気あるんだなぁ。” |
||
“なに勘違いしてるのょお! そぉじゃなくてぇ、馬鹿にされてんのょお、ore 君。” |
過去の出来事を、美しい想い出としてなんか 残したくない。 センチメンタリズムに浸りたくない。 冷たい男かも、oreって。 他人の心の中に 過去の自分があるなんて 我慢できない。 アパートを引っ越そう。 1Rから抜け出そう。 |
花開く幻の都 その影をふるえる水面に映す ギターの爪弾きとゴンドラの哀しい叫び声は 水面を刺す 落日がガナル=グランデに洸々と映え そしていよいよ朝が! |
|
吹きすさぶアルプスの峰に 二つの黒いしみ 雲の上に点々と 朝に輝く雲海の光は アルピニストの背に 強い光を落とす 天に突き上げられた二本の旗 その日 太陽は三つとなった |
時の流れは今 川となりました 銀の皿は流れるのです その上に空を乗せたまま その夜 空は消えました その朝には 太陽が消えました |