涙のような、透き通る、月光の下 佇む、女 僕と、ワルツを踊りませんか? 俺と、ランバダしょうぜ? 私と、ひと舞いしませんか? 小さくお辞儀をして、断り続ける貴女。ぼくを待ち続けてくれる…… |
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でもぼくは、貴女に応えることはできない。 貴女を踊りに誘うことはできない。 |
涙のような、透き通る、月明かりの中に どうしてあなたは 入ってくださらないの? 私 お待ちしてますのよ。 私 踊れなくても、ちっとも構いませんことよ。 私 唯あなたとふたりで、居たいだけなのに。 あなたの、生命ちの息吹を感じる… それだけで 幸せなのです。 私、あなたと同じ、……に、なりたいのです。 |
いやいや、だめだ ぼくには、できない |
少なくとも、現在ほど不幸なことはありませんわ。 あなたのお顔を見れないなんて…、お声だけだなんて…。 これ以上の不幸なんて…決してありませんわ! いや、あなたは分かっていない。 この世界が、どれほどに |
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あなたはもう、わたしを愛してはくださらないのね。 あなたはもう、わたしをわずらわしくお感じなのね。 |
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あなたはもう、私を愛していてはくださらない…… あなたはもう、私をわずらわしくお感じなのよ……
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あなたは、いつもそう。 決して、“愛してる!”とは、言ってくださらないの。 どんなにそのおことばを願っても、 あなたはいつも、口を閉ざされる。 |
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わたしがあなたのお心の中に入り込もうとすることを それほどまでに、拒まれるの? やはりほんとうは、わたしのことがお嫌いなの? いえいえ、やめておきますわ。決して、疑ったりしません。 いつものように、ただひたすらにお待ちしますわ。 |
涙のような、透き通る、月明かりの中 あなたはきっと、 もう若い女ではなく、しわの増えた中年女を そしてそのあと、年老いた老婆を、見つけられますわ。 いえもう、月はきっと見向きもしないでしょう。 薄暗い隅の方に この、冷たい銀の椅子に座っている、わたしに……、 気が付いてくださるかしら……? |
ああ、美しのオフェリア! ああ、愛しのオフェリア! ああ、哀しきオフェリア! 君はとうとう、このぼくの心の中に 入り込んでしまった。 そして住みつこうとしている。 |
崩れる、くずれる、崩れてしまう…… 銀の搭が、くずれ去る… そして 黄泉の世界の扉が、 いま、開かれん! |