[ 比喩を使ってみた ]

俺は書いて書いて、書きまくった。
そうすることによって、自分の考えをはっきりさせようとした。
文学にのみ許されるという、比喩も使ってみた。

 真っ赤な夕陽を見て 
 自分の黒さを知る。
 白い程に暗い闇に立ち
 自分の白さを知る。
 真っ青な川の清い流れを見て
 自分の濁りを知る。
 広い、ただ広い空に
 一つ流れる雲を見て
 自分のふがいなさを知る。
 そして君を知り
 愛の何と深いことか
 自分のヒネクレを知る。
 そして改めて自分が  
 人間だったことを知る。
 神のように博愛は持てぬが
 一人を愛する
 そんな愛は持てる。
 そう思った時、僕の心は
 ようやく動き出した。
 はてしなく遠く隔てる
 君がもとに・・・

 君に手紙を書いている時
 僕はこの世ならぬ喜びに包まれる。
 君の面影をペンで追いつつ
 僕は思わず涙してしまう。

 あヽ、何と素晴らしき君か。
 君のその潤んだ瞳、そのまつ毛。
 その甘き唇より出ずる声。
 あヽ、これ以上何を望もうか。
 望めようか
 僕は君に、君の胸に
 抱かれよう
 深く、深く、深く・・

 それは星のきれいな夜
 電燈に照らし出された二つの影
 アコとシン公でした
 アコが歌います
 ♪つれてって♪と
 シン公が返します 
 ♪霧雨の舗道♪で
 
 お互いに
 青年の誇りを持って 
 自分のために 突き進もう
 では
 二人の友情のために 乾杯!
[ あるがままに ]

俺は、どうしても現在に満足できえないでいる。
どうしても、どっぷりと浸れないでいる。
そのわけが、どうしても分からない。

頭だけが浸り、どうしても全身が浸れないでいる。
俺の迷いは、ここから生じた。
そしてその迷いを解消すべく、又、書く。

−君は、目はいい?
=勿論!僕の目はいいさ。近視、というだけさ。
−茶化さないでくれ。けど、眼鏡をかけないね?
=あぁ、そうだ!コンタクトもしていない。
−どうしてなの?見にくいだろうに。
=あぁ、見づらい。ぼんやりと、しているね。

−どうして?
=僕流に言えばだ。自然でありたいからさ。
突き詰めれば、見たくないんだ。外に広がりたくないんだ。
−普通は、自然でありたいから眼鏡をかけるんじゃないの?
=自然について、溝があるね。
世間語で言えばだ、俗化されたくない!ってことだ。

−変なこだわりだね?
僕は、見たければ見るし、見たくないものだったら見ないよ。
 眼鏡は関係ないんじゃないかい?
=僕は、いやだね。
 とに角、絶対見たくないし、見ちゃいけないんだ。
 僕のポリシーとして。

−うーん。どうもポーズを取ってるような気がするんだけど。
=うん、正解。
 確かに、ポーズを取ってる。
 でもそれは、僕のポリシーをはっきりさせたいからなんだ。
 区別を付けたいからなんだ。

−なるほど。また別れたね、君と僕とは。
=そうだな。いつも食い違う元は、イデオロギーだな。
−そうだね。君は懐疑主義でニヒリストを自認している。
 そして僕は、僕は、僕は何だろう?


[ 砂上の楼閣 ]

言葉を使わずに己の心を伝える。
どうしても行動が必要となってくる。
しかしその行動は、
俺のTimmyに対する行動は、ただ一つしかない。

全てを投げ出し、Timmyの元へ走ることだ。
しかし俺は生活をしている。
どうしても生活という観念が、こびりついている。
離れない。

土台のしっかりしない土地に、何十階ものビルを建てたとしたら、
・・・・・

それと同じことをすることになるのだ。
環境は、俺の自由奔放を許してはくれない。
俺には、なにか責任という如きものに対する執着があった。
言い換えれば、不安でもいい。

己ひとりの力では、どうしても何もできない。
“砂上の楼閣”
すべてがそう思えて、どうすることもできなかった。
目に見えないワイヤーに縛られているようだ。

ええい、正直に言おう。
そこまで踏み切れない。
俺の自由を縛っている環境に、「ありがとう」と手を合わせる己を見てしまった。

その結果、俺の心の一部が、身近な者に動いてしまった。
言葉を使わずして己の心を伝える為の、行動を起こす為の対象物として、初めは為された。

しかしいつしか、それが思慕に変わってしまった。
しかしどうしても、全面的に行動を起こすことができなかった。
それをおりたいと願ったのは、事実だ。
しかしどうしても、俺の十七年間の何かが、それをさせなかった。


 暗き竹藪の上の月、
 それにもまして、
 青白き光を放つ、一匹の蛍。
 その光、
 さらさらと、音も小気味に流るる川に映り
 また、その麗しき。

 うちわを持ちて追いかけし、
 幼きころ。
 力の限りに振り下ろしその風に
 一匹の蛍は、水面に落つ。
 されど、光を失わず。

 なほのこと水面に映えて
 麗しき。

 いつの日か、我がこの手の上に
 お前のその輝く光を!
 蛍の気まぐれに望みを抱きて
 ただ、今は、
 涙にぞ、くれるのみ。[ 砂上の楼閣 ]

言葉を使わずに己の心を伝える。
どうしても行動が必要となってくる。
しかしその行動は、
俺のTimmyに対する行動は、ただ一つしかない。

全てを投げ出し、Timmyの元へ走ることだ。
しかし俺は生活をしている。
どうしても生活という観念が、こびりついている。
離れない。

土台のしっかりしない土地に、何十階ものビルを建てたとしたら、
・・・・・

それと同じことをすることになるのだ。
環境は、俺の自由奔放を許してはくれない。
俺には、なにか責任という如きものに対する執着があった。
言い換えれば、不安でもいい。

己ひとりの力では、どうしても何もできない。
“砂上の楼閣”
すべてがそう思えて、どうすることもできなかった。
目に見えないワイヤーに縛られているようだ。

ええい、正直に言おう。
そこまで踏み切れない。
俺の自由を縛っている環境に、「ありがとう」と手を合わせる己を見てしまった。

その結果、俺の心の一部が、身近な者に動いてしまった。
言葉を使わずして己の心を伝える為の、行動を起こす為の対象物として、初めは為された。

しかしいつしか、それが思慕に変わってしまった。
しかしどうしても、全面的に行動を起こすことができなかった。
それをおりたいと願ったのは、事実だ。
しかしどうしても、俺の十七年間の何かが、それをさせなかった。


 暗き竹藪の上の月、
 それにもまして、
 青白き光を放つ、一匹の蛍。
 その光、
 さらさらと、音も小気味に流るる川に映り
 また、その麗しき。

 うちわを持ちて追いかけし、
 幼きころ。
 力の限りに振り下ろしその風に
 一匹の蛍は、水面に落つ。
 されど、光を失わず。

 なほのこと水面に映えて
 麗しき。

 いつの日か、我がこの手の上に
 お前のその輝く光を!
 蛍の気まぐれに望みを抱きて
 ただ、今は、
 涙にぞ、くれるのみ。


[ 涙のデート ]

俺は、とうとう行動を起こした。
俺の世界の一部分へ、招待した。
あの娘は快くそれを受け止めてくれて、招待に応じてくれた。
俺の心は浮きだった。
そしてその日、俺は決定的瞬間を見つけた。

あの娘は泣いていた、その余りの感動に。
そして俺もまた、不覚にも涙してしまった。
それ程に、智恵子抄という映画は感動的だった。
俺の心に響いた。

しかしそれ以上に、あの娘の頬を伝う涙を見たとき、あの娘のまん
丸いパチクリとした瞳を見たとき、俺は異常なほどの悦びを感じた。

 あの娘は僕が好きらしい。
 僕もあの娘が好きだ。
 
 智恵子抄を観たとき、あの娘は泣いていた。
 僕もまた、涙してしまった。

 観終えた後の、ドライブも楽しかった。
 車中での話で、また泣いてしまった娘。

 あヽ、僕の心に、薔薇が咲いた。
 あヽ、僕は幸せだ。

 今日も、あの娘に会える。
 明日も、そして明後日もだ。

 僕は、きっと、一生幸せでいられるだろう。
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