小さな石を池に投げ、大きな波紋が広がった。
良いにつけ悪いにつけ、それを投げたのは、きみだ。

 男の子が蛙に向かって石を投げた。
 蛙が言った。
 「坊ちゃん! あなたにとっては遊びでも、
  わたしにとっては、生き死にの問題です」

 偽りの優しさよりも、こころから憎んでほしい。
 真実のことばがほしい。
 ……、そう願いつつも、やはりこころの底で、
 慰めのことばを待つ。

ぼくはひとりで砂浜を歩いていた。
太陽はすでに沈み、月の光もうっすらととどいている。
冷たい風が、沖から潮のにほいをはこんできた。

「もう帰らなくちゃ」
 そう思いつつ歩がとまらない、いつまでも歩きつづけた。
 砂浜の果てになにがあるのか、わからない。
  砂浜から、岩だらけに なった。
 それでも歩いた、なにかがあると信じて。

年を重ねるということは、大人になるということ、
               現実をみるということ、
               よごれていくこと、
               そう思った。

しかし自噴が汚れても、あの娘はよごすまい、
                    そう思った。
なんの不安があろうか。
そのよごれを醜いと思うのは、
己を信じていない者の、こころだ。


低く垂れ込める
どんよりとした雨雲を 鋭く抉り去り
力強き光が この地上に下り給ふ

かぶつき太陽は いま その全貌を現す

知事用の息とし行けるもの全てが
光と影の織りなすロンドに 酔いしれる

詩人アガトン邸での饗宴
皆がみな 口々に恋の神エロスを讃える
その狂態ぶり 太陽をして沈ませる

一台の車が静かに現れ
前照灯を煌々とと光らせ 暗き闇の世界を求めて
走る…走る…走る…

その暗黒さ なんと喩えよう

重く圧しかかる その重量感
いまにも大地は 押し潰さるるがごとくに
暗黒の切れ間に 僅かの空を持つ

それとても 光は 出でず

慰めとも 哀れみとも つかぬ……
高層ビルの建ち並ぶ路に
風に吹かれて右往左往する
捨てられた新聞紙にも 等しい