たそがれへん

                               
水たまりの中で冷たい風に吹かれ 小さくなっているのは青空

楡の木に泊まっている小鳥は その夜美しい声でさえずる

には冷たく渇いた風と共に 黒いカラスが鳴くことだろう
                            person






とうとう 来てくれなかった・・
しょんぼり帰るぼくにいたずら?・・神様の・・

セント・バレンタイン・デー

零時を過ぎて帰ると、ドアの前に 
リボン付のプレゼント

二人して食べるつもりだったのだろうか
チョコ と、フライドチキンふたつずつ


置手紙のない プレゼント・・・
ひとりぼっちの部屋で 灯りを消して・・

今日だけは 今夜だけは許してください
涙が 止まりません。

拭っても 拭っても 溢れ出てきます。
勘弁してください もう 許してください。


今夜は 明るい月です。
でも歪んで見えます、雨降りのように。

壁際に腰をおろして、膝を抱えてみます。
少しずつですが、冷えた心が温まります。


求めはしなかった 優しさを
与えはした ・・ の筈なのに・・
=セント・バレンタイン・デー=






愛しき人よ、僕は君に何を与えよう。
この燃えさかる胸の炎を、君の胸に?
いやいや、その炎は冷たく閉ざされた氷の心を
         きっと溶かし、君に火傷を負わせることだろう。

このあふれ出る命の水を、君の唇に?

いやいや、その水はかたく閉ざされた鉄の堤を
         きっと突き破り、君を溺れさせてしまうだろう。

このほとばしる愛の言を、君の耳に?

いやいや、その言は頑なに魔音楽を聴く蝸牛を
         きっと壊して、君を聾唖者にしてしまうだろう。

愛しき人よ、僕は君に何を与えよう。
そう!君の求めるもの、すべてを与えよう。
    
この生命を!と言われれば、喜んで我が胸に
                           恋の剣を突き立てるだろう。

だけど、これだけは言わないでおくれ。それを聞くや否や、
僕は地獄の真っ赤な業火の中へと、落ちてしまう。

”私の前から消えて!”

                                                               =愛しき、人よ=






「わたし、分かる?」
「はいっ!わたし わかる さんですね?」
「うん、もおぅ!」
「うん県 もおぅ市の方 ですね?」
「しらない!」
「しらない町 ですか・・」
「プ・プ・プ・プ・・・」
「プ・プ・プ・プ番地、と。」
“ガラガラ・・”
「おぅ、お帰りぃ!」
「フンッ!」
=帰省からの帰宅=






エッフェル塔の下のため息を 気まぐれな風はパリの町へ運んだ

コートの衿を立てて急ぎ歩く旅人を 冷たい風は囃し立てた

今 風は眠っている 朝 風は又吹くだろう
                                      =風・旅人=






流れるシャンソンのメロディーは 
浮かれた風をグラン=プールへ連れてきた

胸を病む画家達の間を 
浮かれた風が囃し立てた

セーヌの川に置き忘れられた郷愁さえ 
風は吹き飛ばしていた
                                 =風・郷愁=
                                
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