たそがれへん

銀の皿を並べたこの川に ちぎり捨てられた レモンの皮

岸辺にたどりつくさお舟の 人影の背に 春が宿った

その
には 銀の皿を並べたこの川に すでにレモンの皮はないのです
                                                    =銀の皿

紫色に彩られ タバコの煙りは 薔薇に吸われる

冷たい影を落としていた月は 今 かげりました

その朝には 枯れたバラが そこには 在ることでしょう
                                   =薔薇=


さよなら・・・さよなら・・・

た々゛見つめあうだけで 貴方の心は わかるの

 何も言って欲しくない

さよなら・・・ その言葉だけで いいの

貴方のひと言に

 きっと私は 泣いてしまう・・

みんな 儚い慕情として

 私の胸の 奥深くに

 沈めて おきたいの

                    ・・・・・さよなら



さよならのひと言は 

             とても淋しい

小雨の白い舗道を 独り歩く僕・・

 車のヘッドライトが 眩しく光り 消えて行く

歩いていたい 

 どこという あてもなく歩いていたい

 何も考えず た々゛歩いていたい

                   遠くに行きたい



夜学授業の終わりを告げる チャイムの音が

 こんな遠くまで 聞こえてくる

 風に乗って 美しく響いてくる

 昼に働き 夜に学ぶ 辛く苦しい道

“がんばってるね!”

 優しく声をかけられる

 黙って 頷く僕がいる

早く 大人になりたい なりたい 大人に・・

 君を受け止められる大人に 早くなりたい・・

                ・・・・・なりたかった
=さよなら=









心に雲の広がりを持ち 湿った空気の為に
澄んだ音でさえも 屈折しがちな 心・・・・・

 広い空 白い雲の広がりなど ものともしない

 雲  雲  雲  ・・・それですら 
 一つの空としての 美を 創り出している


                            =心=


幼い頃
背丈の 何十倍もの大木の下で
その高さのあまりに ただ ため息を漏らしつつも
あすなろを 感じた

その純な 心は 何処に・・・?・・

れんげ草の咲きほこる 畑の中に寝転んでは
花から花へ飛び交う 蝶に心を許し 
共に蝶になり その蜜の世界に 浸った

その純な心は どこに失われた・・・?・・

いつか太陽が隠れ 沈みゆく
彼方の雲は オレンジに輝く

青い青い海に 落としたオレンジ色を
オレンジの雲に乗って どこまでも追い続けてみたい

そしてやはり いつかは ここに戻る

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                               =いつかは・・=


海は いつか日暮れ 僕の胸に 
恋の剣を射したまま  波間に消えて行った

 追いかけても 君は見えない
 白い闇が    迫るだけ

恋は いつか消えて 僕の胸に
涙の光を残したまま 波間に消えて行った
 
 追いかけても 君は見えない
 白い闇が    迫るだけ

昨日も今日も そして明日も 夏の渚に立って
君を探しても  あの日の君はもう居ない
         あの日の君は もう居ない




はるかな海
どこまでも どこまでも 果てしなく・・・
が その海も

限りなき空
どこまでも どこまでも 広がり続く・・・
が その空も

水平線では 海と空が一つに 重なる
追いかければ追いかける程 水平線は どこまでも
果てしなく どこまでも 広がり続く

わからない 追いかける程に わからない・・・

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=海=

“女って奴はなぁ 心と肉体で愛さなくちゃ 逃げちまうもんだ!”
“青臭ぇ恋愛論なんぞ 屁でもねぇ!”
“恋文だぁ?そんなもんより 口吸いの一つでもしな!”



星の輝きが霧に閉ざされ 時の流れも止まった中
ぼくは君と歩いている
それだけで幸せなぼく けれど君は不満たらたら・・

手をつないで!
抱きしめて!
キスして!

様々に君はせがんでくる

触れ合うものは心だけでいい
肌の触れ合いが
永遠を約束してくれるわけじゃない

君にガラスのドレスを着せたい
ガラスの帽子に ガラスの靴も・・
弱い月明かりでも きっと七色に輝くだろう

そんなの イヤ!
靴ズレしちゃう!

どうして君は 夢に酔えないの?
どうして桃源に 入ってくれないの?
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                             =桃源=
                        
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