V

 「かえってきてほしいの!」

「……いや、君への愛の証しを見つけるまでは、
俺は その愛を、認めはしない」

「待っててくれ。必ず、
 探し出してくるから」

「きっと、舟のない港に
 舟を入れてみせるから」
 =舟のない港=
 
高らかに響け!  天使の声  
               ♪アヴイ・マリア♪

 あなたを呼ぶ声
  この川から  あの家から その窓から
  皆が 待っている。
  さぁ、あなたのその声で 美しい声で
               ♪アヴイ・マリア♪

歩き始めたミヨちゃんが あなたを呼んでいる。
 ホラ、ヨチヨチ歩きで 通りまで 出てきた。
 あなたの声を 求めて  
                ♪アヴイ・マリア♪

早く聞かせて 早く見せて!
 あなたの声を あなたの 
 その白い 美しい 透きとおる姿を。
                ♪アヴイ・マリア♪ 

”あゝ My mother!”

さぁ、天使達よ この子を 運んでおくれ。
 この子の魂を。      
 この子の体は 引き受けた、Dr.Schuveitzerが。
               ♪アヴイ・マリア♪

 あの川を渡り  あの屋根を越えて
 あの山を飛び  あの雲に乗って・・・
 高らかに 鳴れ!  響け!
                ♪アヴイ・マリア♪

                ♪アヴイ・マリア♪

 ”あゝ My mother!”  ・・・・・・  
 ”My momma!”
 ”My mom!”
=アヴイ・マリア=
 
”荒々しい瞬間の暴力が飲み込んでしまう。”
そしてその飲み込まれた世界は、
誰も居ない浜辺でたった一人で泳いでいる私を、
もう一人の私が見ている所。

”ぴかぴか光っているものは、一時の為に生まれたもの。
 本当のものは、滅びることなく後世に伝わります。”
人間の愛とは、所詮前者のようなものでしょう。

彼は 幸せ者です。
私に殺された、唯その一点で、私の心に 私を知る人の心に
いつまでも記憶されるのですから。後世にまで伝わるのですから、
たとえ記憶の片隅のことだとしても。

”私が後世のことなぞかまっていたら
 だれが今の世の人を笑わせますか。”
この世から 笑いという笑いが消え
       哀しみという哀しみが消え去る
     ━ そう、「人でなしの国」
       そしてそれが、「超人の国」でしょう

「Such is life,Will once more!」
 
=超人の国= 
 
神は、常にそばにいてくださる。

そして、正しき道へと導いてくださる。

しかし、愚かにも人間は

それを、その手を邪険にはらい

己の、欲望のままに生きてしまう。


神は、いち度のあやまちを許してくださる。

神は、に度のあやまちを許してくださる。

神は、さん度のあやまちを許してくださる。

神は、よん度のあやまちを許してくださる。

神は、ご度のあやまちを許してくださる。

そして神は、六度目のあやまちを許してくださる。


なれど、あやまちを犯した人間は罰を受けねばならぬ

現世での罰をうけねばならぬ。

現世での罪は現世で清めねばならぬ。

“いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ”

獄界に行きたければ、それも良し。

獄界で罰をうけたくば、それも良し。

「おのれの罪深さは、おのれ自身が良く知るもの。

「ならばそれは、おのれの罰は、おのれが決めよ。
 
  = 罪と罰 =