あゝ、今すぐに助けに来ておくれ。 |
=誰か、救いを!= |
海はいつか日暮れて 僕の胸に恋の剣を刺したまま その波間に消えた。 追いかけても君は見えない。 白い闇が迫りくるだけ。 恋はいつか消えて 僕の胸に涙の粒を残したまま その波間に消えていった。 追いかけても君は見えない。 白い闇が迫りくるだけ。 昨日も 今日も そして明日も 夏の渚に立って君を探しても あの日の君はいない あの日の君はもういない。 遥かな海・・・どこまでも どこまでも果てしなく・・ が、その海もまた・・・・ 限りない空・・どこまでも どこまでも広がり続く・・ が、その空もまた・・・・ 水平線では、空と海が一つになる。 なのに・・・君と僕は、 追いかけても、追いかけても 水平線はどこまでも 果てしなく 広がり続ける・・・ わからない、わからない、 追いかけるほど、わからない・・ |
私が、お前が必要だと呟いたとき、お前は言った ━ いつまでも貴方と共に、と。 全てを投げ打って、私はお前の元に。なのに・・お前は居ない。 何と言う欺瞞、お前はどこだ! お前は、私を裏切りはしないよね。 私は、お前を信じていよう。 お前は、私を愛してくれているね。 私は、お前の物なのだから。 お前は、一体何を考えているの? 時は、待ってはくれない。やがては、朝が訪れるだろうょ。 お願いだ!こんな惨めな私を、晒さないでおくれ。 お前は、言わないというのか? ━ 愛している、とは。 そんな、そんな、こと・・。 お前は、やはり帰ってこない。 でも、信じてる、信じるょ。 私のこの身が、涯てようとも、 時が、この私を彼方に追いやっても お前への愛だけは、この地に 時が、この私を黄泉に突落としても お前への愛だけは、浮き世に いつまでも、とどまることにしよう。 愛している、愛してるょ。 私は、想い出と共にお前を待とう。 私は、消えてしまう ━ 嘘ではない。 が、お前への愛だけは消えはしない。 |
ある冬の街角で・・・、そう、少し雪の散らつく寒い夜のこと。ダウンジャケットのポケットに迄、冷たさが忍び込んできた。 路面がうっすらと雪の化粧をし、街灯の灯りで眩しい。ひっそりとして、明かりの消えたビルの前を、ポケットの中の小銭をちゃらつかせながら歩いていた。 とその時、後ろから恐ろしく気味の悪いーかすれた、腹からしぼり出すような声がする。 ”だめだ!左はだめだ。右に、行くんだ!” どぎまぎしながらも後ろを振り向いた。全身が血だらけで、片腕のちぎれかけた男が、呼び止める。生々しいタイヤの跡が、顔面に刻み込まれている。 その男、確かにどこかで見たような気がする。が、あまりの形相に思わず目をそむけた。そのまま逃げ出し、左へ折れた。 そう。男の言う、行ってはならない左へ行った。 と、フト思い出す。血だらけの男の居た場所は、雪が白かった。 曲がりきって、あの男から逃げおおせたと気を許した瞬間、雪化粧の路面で足を滑らせ、道路の中央に転んだ。 その時、チェーン無しの車のすべる音。その音を耳にした時、俺の目の上をタイヤが滑っていく。 何だ、これは!一体、どうしたことだ。目の上にタイヤが・・・。 ”ウワァオ!” 「だめだ!左はだめだ。右に、行くんだ!」 精一杯、腹からしぼり出すように、俺は叫んだ。 |
時の流れは今 川となりました 銀の皿は流れるのです その上に空を乗せたまま その夜 空は消えました その朝には太陽が消えました |
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