雨が 降ってきた!
      どしゃぶりの雨だ、
      傘を ささなくちゃ。

      だけど 傘がない・・

  イタイ、痛いよぉ!
      突き刺すような雨だ、   
      傘を ささなくちゃ。

      だけど 傘がない・・

  サムイ、寒いよぉ!
      凍れる冷たい雨だ、
      傘を ささなくちゃ。

      だけど 傘がない・・

  ゴメン、ごめんよぉ!
      君を怒らせてしまった、  
      君を泣かせてしまった。

      ぼくも、泣いている・・   

=傘がない=






−トシ君とアコちゃん、どうかしらねぇ。
=トシ君、もう高校生でしょ。
 アコちゃんも、小学生とはいえ六年生だしねぇ。
井戸端会議の声が、胸に突き刺さる。
せまい故郷に帰ってきて
わずか、二日目のこと。
  夕立ちの雨が激しく大地を叩きつける。
  トシのほ々も又、濡れた。
すっかり辺りを飲み込む闇。
トシも又、消えて行く。
  「トシ兄ちゃん、また明日ネ!」
  アコの声が、空虚しくトシの耳に響く。
                              =レモンの夕立ち=






白い紙は、机の上。
私の手に、黒のエンピツ
そのまま下ろし、手を動かせば
そこには、黒い線の誕生。
もう一度、動かす ━ 双生児の誕生。

紙はまだ白い。
私の手のエンピツは早くなる。
そして正確に、少しずつ
白い紙は黒くなる。
それでも、紙はまだ白い。

エンピツの速度は上がる。
次第に紙は黒くなる。
いつの間にか、白い紙は黒い紙だった。
そして、ちびたエンピツと共に、
黒い紙が、
捨てられた。

ゴミとして、屑カゴの中に。
                                    =白い紙と黒い鉛筆=






水たまりの中の青空は 小さかった

ポチャンと投げた石ころに 

水たまりの中の青空は 歪んだ。

    
渇いた愛 砂に吸われる水

       草木は 枯れていた

       枯れ木を 風が吹く


今日の愛 明日には憎悪 渇いた愛

  激しい雷雨 外で遊ぶ子どもたち

    汗まみれ・・・
                                         =青空=
          





    
タバコ・・・
その煙...白?灰色?..
光によって、その色が変わる。
雨にも、似たもの。

酔わせてくれる。

肺に、グッと吸い込む。ガツ―ンと、
脳を、マヒさせる、ボーとなる。

景色―すべてがぼける。体から力が、
抜ける。・・・昇天・・・?

タバコで、これ。
・・・酔う、ということ・・・

恐い・・・
                             =たばこ=




考えて 悩んで ・・・何もしない

    何も できない俺

    ただ 不安がるだけ

    手足をもぎとられた わけでもないのに


二十歳になった時 十五才の女の子と話をした

 七・八年先に 結婚しょうかなぁ・・

                      どんな人が いいの?

 そうだなぁ、二十二・三才の女性かなぁ

                 じゃあ、私、丁度いい年頃だね

 そうかぁ そうだね じゃあ予約しておこうか

                       恋人 いるんでしょ?

 恋人はいないけど デートの相手はいるょ
 
                          嘘!いないんだ
           あたしのお兄さんと一緒 いないんだわ!

 いるよ デートの相手位は

                         嘘! いないのょ

 そんなに モテナイ男に見えるかい?

                            うーん!・・・

 じゃ 今度デートしてくれるかい?

                           うん いいよ!

 やめとこ もう少し大きくなってからね
                                  =もがいて・・=



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