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灰色が雲に、我見たり! 背筋も凍るが如くに 白き太陽 紫陽花の雨に打たれし その後で、花は咲きにけり 心変わり、移り気 あゝ花が言葉の、切なさよ 飛び交う蜂にも、心はあらむ 蜜を吸われし、花とても やむごとなき 愛する人への、想いぞ哀しき 地に棲む虫も、数あれど 中でも弱き、汝は蛙なりや 蛇に飲まるるそれが為 短き生命ちを、花咲かす “いかばかり 恋しくありけむ 我が背子よ” 口に出ししぞ、愛しかりける 吾が倖せひとつなる 閉じし瞼の、その裏に 浮かびし君を、語るとき |
=君=
その昔、君は 北の果てに生まれる その昔、男は 南の果てに生まれる その昔、 裸馬のたてがみを掴み 疾風の如くに走った その昔、 慣れぬ自転車のハンドルを握りしめ 走った その昔、沖に浮かぶ舟より 泳いで帰れ!と 海に投げ込まれた 君 その昔、沖に流れた舟を 必死の思いで追いかけて 大波にもまれた 男 海の水の流れは いつか、溶け合う 前世よりの 縁は深く 太古よりの 流れは強し |
=おのこ と めのこ=
空!海!風! なぜ? 太陽は空に なぜ? ヨットは海に なぜ? 恋は風に きっときっと知らないんだ なにがステキなのかを だから・・・なんだね 空!海!風! なぜ? 鳥は空に なぜ? 魚は海に なぜ? 恋は風に きっときっと知らないんだ なにがステキなのかを だから・・・なんだね 空!海!風! なぜ? 空は輝く なぜ? 海は光る なぜ? 風は走る きっときっと知らないんだ 君がステキなことを だから・・・なんだね |
=空!海!風!=
みんなが眠る その夜更け |
=夢= |
「今夜は、すごく星が多いようですね」 「あら! ホントだわ。どうしてかしら……」 「きっと今夜は、ふたりのために雲も隠れてくれてるんですよ」 「あら? あのお星さま、チカチカとウィンクしてくれてますわ」 「ああ、本当だ。きっと女神が祝福してくれているんですね」 「いいえ、男神ですわ、きっと」 「いやいや、☆ は女神さまと決まっ……」 「きっと、男神さまで……」 「アハハハ……」 「ほほほ……」 「星もきれいだけど、きみの瞳の方が、数倍いや数万倍きれいだ!」 「そしてまた、その唇がステキだ。ピンクチェリーのようで、食べた…」 「あっ、いけませんわ。いけま…」 「ごめん。あんまり美味しそうで、つい。でも、美味しかったよ」 「うん、もう……」 |
=pink cherry= |
君のエガオが こわい 君のナキガオが こわい 君のオコリガオが こわい 作り笑顔なんて いらない うそ泣きなんて いらない 脅かしなんて いらない 仕事あとの 一杯のビール “おいしい”って 言ったきみ 風呂上りの 一杯のビール “おいしい”って 言ったきみ ジョギングあとの 一杯のビール “おいしい”って 言ったきみ いつでも、どこでも、なんでも [おいしい]の きみ バスルームで 白い湯気で 見えない たっぷりの泡で 隠してる 湯舟に浸かって ずるいぞ ベッドで 誘う きみ “きて…” 乱れる きみ “すてき…” たずねる きみ “かえるの?…” 玄関で 舌を出す きみ “べー だ” わらい出す きみ “バ、ハハァイ” 泣きまねする きみ “アッカンベー” |
=アッカンベー= |
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