びっくり、したあ。
相変わらず、emikoには驚かされる。
 カレと別れて落ち込んでる
 いるのょ。
 慰めてやってくれない?
なんだよ、それって。
oreっチにピエロになれってえのか? 
まっ、いいけどさ、ヒマだしな今は。
それにしても、何年ぶりだ? 
うーん、二年か? 以上だよなあ……
なんとまあ、病院勤めだと。
oreっチは、ほんと看護婦に、
縁があるんだなあ。

 ikkoょお、いいかなあ。ore マジになりそうだよ。
マジで、好きになってもいいかなあ。
あいつにお膳立てしてもらったけどさあ、マジになりそうだよ、ore。

あいつ、ore の好み、よく知ってるんだよ。
小太りの()が好きなんだ。ガリガリは、カンベーン!
太ってないって? ジョーダン! だったら、誰が太ってるんだょお。
ほらっ、ぷよぷよジャンかあ。
ああ、いいなあ。ほおずりしてえぇぇ!

なんだよ、逃げんなよ。ちゃんとヒゲ剃ってるぜえ。
チクチクなんてしねえよ、いいジャンか。
ほらあ、スベスベだろうがあ。
 oreってキレイ好きなんだぜ、。結構マメに掃除なんかしてるし。
だけどさ、ikkoがよお、せっかく来てくれるって言うから、
ほんとは掃除したかったけど、やめたんだぜ。
やっぱ掃除は付きもんでしょ。

“Shall we dance?”
ようこそ、ore dance school に。
記念すべき第一号の student ですぞ、ikko。

「スロー、スロー、クイック」
ほらっ、背筋をピンと伸ばして! こらこら、手もシャンとしなくちゃ。
そうだ! 足を、oreっチの足に乗せな。
そうしたら、覚えやすいぞ。

疲れた? だったら、oreっチにもたれかかっていいんだぜ。
oreっチの首に両手を回して、寄りかかってこいよ。
“cheek−dance って、言うんだぜ。”
“恋人たちのための、dance なんだ。”

ほんと、いい娘だよ、ikkoは。
知ってるくせに知らないふりして、oreっチに見とれてくれる。
潤んだ瞳で、oreっチを見上げて……
ore ならずとも、…・だよな。

「ごめんね、ごめんね。門限に間に合わないと、外出禁止になっちゃうの」
ギンギンのハートを鎮めるのには、ほんとに苦労したぜ。
だけど、ここで男を見せなきゃな。

 「いつも夜なのね」

よく言うぜ、まったく。
誰が好き好んで、夜にnagoya まで走る馬鹿がいるんだ。
けけけ、いよょ、いたょ、ここにぃ。
夜大好き man が、よお。

だってよお、ウィンドゥガールじやねえんだ。
そんなもん、アレしかねえジャンかよ!
おっとこんなことあいつに聞かれたら、大目玉だぜ。
だけど、あいつだって、
oreっチのボランティア精神には気が付いているはずだろ?

もっとも、慰めるってことが、どこまでのことか
oreっチには分かんねえけどさ。

門限、門限って、いい加減にしろお!”
ikko の休みに合わせられるわけ、ねえだろうが。
だってもへちまもあるかあ!
逢うたんびに、即セだあ?
そ、そんなもん、、、イヤなんかよお!
普通のデートがしたい、だあ?
だったら、土日に休み、もらえよ!

“そんなだから、ikko、彼氏に振られんだろうがあ!”
“そんな無茶ばっか、
自分の都合にだけ合わせさせようっとすっから、彼氏も離れんだょお!
ナニさまだと思ってんだ!”

泣いてすがるかと思いきや、
「ごめんね…」って、車から降りてったよ。
じょーとージャン!

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

何なんだあ、今ごろ。ore にナニ聞くんだよ、まったく。
イミ分かんねえぜ、おまえって奴は。
今のカレのこと、なんで ore に、聞くんだ!

「なに考えてるのか、分かんないの…」
「会うたんびに、即ホテルなんて!」
「ちゃんとお休みもらってるのに、お昼ごはん食べたら…」
「昼休憩は料金が安いから、なんて」

そんなもん、当たり前だろ。それしかねえよ、男は。
それがイヤなら付き合うな、男とは。
そうやって言うと、実も蓋もねぇわな。
それだけ自分に、
sex-appeal があるんだって、思ってろよ。

お前、すぐに「結婚」って考えてないか?
カレって、いくつなんだ? 
二十二だって? ほら、みろ!

「カレの本音を知りたいの」
そんなもん、簡単さ! 
がんばって、拒否してみろよ。
そうすりゃあすぐ分かるサ。
それで分かんなきゃ、ikko 自身が、
本気じゃないってことだろうさ。

 
 oreっチも、ヒマだよなあ。
それとも、以前 postman に言われたけど、八方美人?
自分としては、ジコチューな男だと思ってんだけど。
元カノに対して、冷たい態度がとれないんだよなあ……
なんでだろう?他人に嫌われることが、恐い???
æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ æ

  それは 雨のふる月曜日
 人気のない 浜辺で
 わたしは 夏の落しものを
 さがして 歩いたの

 肩を冷たく 濡らしていく雨でさえ
 わたしの心を知っているのに
 夏のあなたは 今どこに…

 もしもあなたに 逢えたら
 ことばなんか いらない
 たゞもう一度 あなたの口づけが……
 
 
    大きな馬鹿か 小さな利口か …   

 P子  きみに頭を下げる 見くびっていたよ
      大いなる馬鹿であるきみに (ペコリ)

 ore  小さな利口になろうとした きみ
      どうやら 大きな…に……

P子ちゅわ〜ん!
“どうしたのかなあ”なんて、聞きたいんだけど。
なあーんか、今日のP子ちゅわんは、元気なかったぞお。

oreっチ御用達の、ウエイトレスさん。
月に一、二回かな? 食べに行くのは。そ
んでもって、モチロンその後におデート。
キャピキャピかと思えば、しかめっ(つら)をする、P子ちゃん。
今はやりのソーウツ病とかじゃないんだぜ。
気分屋さん、なんだよ。
まあどっちかというと、妹的女の子かな? とし? 
えーっとね、十七だっけ、十八だったっけ。
 
「“oreっチくん! ニンジン、残さず食べなきゃだめだよ。
P子のいとこ、通風とかいう病気にね、なっちやったよ。
お肉ばっか食べてさ、お野菜大嫌い人間なんだったの。
oreっチくんと一緒でしょ!”

最近、お説教が多いんだなあ。
ここらでひとつ、ビシッと行くかあ? 
どうも、oreっチのこと、男として見てないような気がするんだよナ。

 ああ、まずったよなぁ。おもしろアイデアだと思ったんだけどなあ。
よりによって、P子のおっかさんに読まれちまうとわ。
やっぱ、変だよなあ。ローマ字ばっかでの、暑中見舞いなんか。

「ダイジョーブ、ダイジョーブ、ダイジョーブゥ! 
変な人だけど、悪い人じゃないからね」」
なんて、弁解してくれたらしいけど。
oreっチとしては、複雑な気分なんだよな。
いい人なんて、気の抜けたコーラみたいなもんっしょ。
ダンパ帰りに寄ったときだったな。
居ないと思ってたP子がいた。
マジで、びっくり! ビックリ!!

「ふーん、来るんだ、P子がいないときに」
“な、なんだよ。腹が減って、たまたま通り掛ったから、それで…」
“いらっしゃいませえ、ご注文をいただきますう」
P子め、急にマニュアルギャルにヘンシ〜ン!

だけど、腹の立つ主催者だ! パー券を買わせるときは、
「だいじょーぶ、大丈夫だって。
女性のほうが、ぜぇったいに多いってえ。
その辺のダンパとは全然違うって」 だったジャンか。
♪信じたあなたが〜、バカなのよ〜♪っ、てか。
いいよ、いいのよ、いいんですう。
あたしにゃ、好()いヒトいるんですう。


しょげ返ってたoreっチを、P子が慰めてくれた。
oreっチの頭を両手で、P子の胸に押し当てて……。
「P子のおっぱい、小っちゃいから、骨に当っち ゃうジャン」
「P子は、なーんにも不平不満がないモン!」
「お母さんが言ってたモン。
不満をいっぱい持っ てる人ほど、大っきくなるんだよ、って」

     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ほんと、不思議な子だよ、P子は。
まるで猫だ。
今までにも猫系の女の子と付き合ったことはあるけど、
P子はまったく別格だ。

突然、“help!”なんて手紙を送りつけてきたと思ったら、
「アハハハ……」なんて、意味不明のハガキが届いたりして。
「店長がね…”なんてウジウジしてるかと思えば、
「あのバカ女があ!」って、怒り出したり。

大っきな口を開けてホットドッグをパクつきながら、話しかけてくる。
“oreっチくんは、憧れの的なんだよ」
とつぜん、なにを言い出すんだ。

「P子ちゃんには手を出すな!」と、あいつが言う。
「P子ちゃんには、ちゃんと彼氏がいるんだから!」
と、あのおまでもが。
うっせえ、うっせえ、うるせえぇぇぇ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
虫の声
君の聞きしは 鈴虫か
我の聞きしは 腹の虫なり

虫の声
つられて歌う
腹の虫
 人生は二本の、レール
幸と不幸の、二本のレール
その交差点で、迷う

演技は、人生にとって必要なはず。
言いかえると、処世術、世渡り、となる。
好んでマサツを起こすこともないし。
そう思うと、なおさら必要だ。

演技は、美しくありたい。
美しさのための、演技でありたい。
醜い演技は、必要ない。
したくない。
醜いのは、事実でいい。
社会そのものが、醜いのだから。

幸せがやってくる
子猫の背に乗って
やってくる
子猫の背の上で
さむい、サムイと、震えながら。
――だから、きみが好きさ。
 

 教えておくれ 君の秘密を

ぼくは 心を 君に預けよう

    こんなに星が光っているのに

    ぼくの心は 濡れている


霧が降りてる この舗道を

君とふたりで 歩いていたい

    こんなに君が 好きなぼくなのに

    君のひとみは 濡れている


 
エッフェル塔のため息を 
気まぐれな風は 
パリの街へ運んだ

コートの衿をたてて急ぎ歩く旅人を 
冷たい風は 
追い駆けた

今 風は眠っている
(あした) 風はまた吹くだろう
流れるシャンソンのメロディーは 
浮かれた風を 
グラン=ブルパールへ連れてきた

胸を()む画家たちの間を 
浮かれた風は
吹き荒れた

セーヌの川に置き忘れられた郷愁さえ 
浮かれた風は
吹き飛ばしていたのです

 achiko 、、、
kachiko 、、、
あいつのことを思い出すと、いつも哀しくなってくる。

こういうのを、「瓢箪(ひょうたん)から駒」って言うのかい?
言わない? まっ、いいジャン。

正直のところサ、minako のいない淋しさの紛らわしで
付き合った女の子だったんだけど。
いつの間にかにね、マジになってた気がする。

kachiko との出逢いは、どういうんだろう……静かな…
とでも言えばいいかなあ。

「つーかまえたあ!」
うしろから羽交い絞めにしてやった。
いかにも知ってる女の子にって感じで。
トーゼンに、kachiko は、キャッ!だ。

普通ならそこで手を離して、gomen だわな。
でも oreっチは、違う。
ギューって力を入れる。あくまでも、知ってる女の子だモン。

「だ、だれですか!」

そこではじめて気付いたふりをする。
もちろん謝るけれども、そこからスタートするわけよ。
悲劇のストーリー展開するわけ。

「じつは、死んだ恋人が生き返ったような気がして…」
kachiko もすぐに、嘘をいてるって気が付くよ。

それでも(ひる)まずに、ワッセワッセといっちゃった。

だからさあ、風邪薬に「ベンザ」ってのがあるだろう。
でさ、それって、ククク……
カタカナだからいいんだよな。
もし、もしだぜ、漢字だとしたら、、、「便座」になるんだぜ。
ククク…面白ぇだろ? な、な、な。

面白くない? そっか、笑えないか。
バカ受けするんだけどな、キャバレーなんかでは。

そんじゃ、こういう話はどうだ……?

なんだ? もう帰る、だって、まだ八時だぜ。
バイト? こんな時間からかよ。
ほんとにバイトかあ? なんのバイトしてるんだよ!
kachikoは、まだ高校生だろうが。

||||||||||||||||||

kachiko とは、oreっチにしては珍しく中途半端だった。
なんか複雑な家庭環境にあるらしいことは察しがついた
けれども、kachiko の奴、なーんにも話してくれない。
とにかく笑わない。ニコリとはするけれども、声が出ない。
いつものoreっチなら、すぐにも bye−bye なんだけど、
どうしてか気になってしかたがない。

「幸せになっちゃいけないの、わたしは」
kachiko の口ぐせだ。逢うたびに聞かされる。
ほんとにそう思っているなら、oreっチとデートするわけないだろうし。
マジで意味分かんねえよ。
 
亜紀子
亜紀子
重ねてしまったのか
ぴったりと、重なり合った、と言うのか…
 



身も心も軽やかにベッドに潜り込み
きみのフォトを見つめてため息を漏らしてる。

毎日とどく手紙とともに、
    きみの笑顔もとどいてる。

でも、でも、…それだけ……

時の流れは いま 川となりました
銀の皿は 流れます 
その上に空を乗せたまま

その夜 空は消えました
その(あした)には 太陽が消えます