える唇が なにを言う
燃える瞳が なにを言う

わかっている、わかっているさ
なにも 言いはしない

唯 その唇から 銀の矢が放たれただけ
   その瞳から 銀の矢が放たれただけ

“あらあらしい瞬間の暴力が飲み込んでしまう”
そしてその飲み込まれた世界は
誰も居ない浜辺に、
たった一人泳いでいるbokuを
もう一人のbokuが 見つめているところ

群れを離れた 一匹狼のいらだち
鉄工所の騒音から逃れ 無音室の中に閉じ込められた
男の いらだち

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昨夜、夢を見た。

bokuをあざけり笑うがごとくに、見も知らぬ男に
抱かれていた。
一糸まとわぬ姿で、抱かれていた。

bokuは、黙って背を向けた。
bokuは、声を殺して涙した。

意気地なしのbokuを、
笑いたければ、笑うがいい。

でも・・だれ?


teikoちゃんはと言えば、これが満面に
笑みを浮かべて、bokuを迎えてくれた。
えぇい、もう、思いっきりピエロになって
やるう。

本音を言えば、
“ちょっといいなぁ、かわいいし。”だ。

自分でも驚くほどに、会話が弾んだ。S君
には悪い気がしたが、ものの五分と経た
ないうちに、完全に二人モードに入ってし
まった。笑い声が、車中に響き渡った。

遊園地に到着後は、さすがに気が引けた
bokuは、体調を崩したと言い訳して、車
に残った。実際、下痢しちゃったし。慣れ
ないことはするもんじゃない、実際。

気が付いたのは、三人が戻ってきてから
だ。ぐっすりと、眠っていたらしい。夕焼け
しかったことを、覚えている。
その帰りの車中、S君とteikoちゃん二人
の、楽しげな談笑が続いてたょ。bokuは
と言えば、眠くも無いのにフテ寝してた。
悪友とその友人と、そしてteikoという
女の子。人の好い(?)bokuは、その
友人のデートのお供をすることになった。
男三人に、女一人。ちょっといびつです
ぞ、これは。しかしまぁ、暇つぶしには
なるだろうと、軽く考えて、お供、してし
まった。

日本で一番大きい湖に出かけることに。
ほゞ二時間の、ドライブ。小さな車だけれ
ども、いやいや、ちいさな車なればこそ。

どうしたことか、その友人S君、一言も喋
りません。teikoちゃんも、困り顔。見か
ねた悪友が、よりにもよって、このboku
に座を盛り上げさせようとする。
一日運転手に徹するつもりだったこのbo
kuを、後ろに鎮座するteikoちゃんの隣に
座らせた。

S君の表情をうかがうと、何やらホッとした
表情を見せている。気疲れしてたみたいだ。

なんだ、なんだ、なんだあぁぁ!
どうして、こんなメールが届くぅ?

━ あたしのこと、覚えてますかぁ?ちょっと、会いたい
  んだけどぉ、時間とれますぅ?        teiko

時間はあり余ってるけど、どういうことだぁ?

━ いいけど。

OKしちゃったょ、boku。まっ、いいかぁ。なんか話が
あるみたいだし。会ってからの話だょな。

Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü Ü


小さな石を投げたら、大きな波紋が広がった。
良いにつけ悪いにつけ、
それを投げたのは、君。

男の子が、蛙に向かって石を投げた。
蛙は、言った。
“坊ちゃん!
あなたにとっては戯れ事でも
私にとっては、生死の問題です。”

偽りの優しさよりも 心から憎んで欲しい

そう言いつつも、心の底では慰めを待つ。

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€ € € € € € € € € € € € € € € € € € € € € € € €

ぼくは一人で 砂浜を歩いていた。

太陽はもう沈み、
月の光りもうっすらとしていた。
冷たい風が、沖から吹いてくる。
もう帰らなければ・・
そう思いつつ、いつまでも歩き続けた。

砂浜の果てに、
何があるのか、わからない。
砂浜から、岩だらけに 変わった。
それでも歩いた、
何があるか、わからなかったから。

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teiko!

魔性・・・
恐るべし、17 歳!

「こんにちわ!ごめんなさいね、急に呼び出したりして。
どうしてもあなたと、お話したかったの。お詫びしたかっ
たの。」

どう考えても、年下の者に対する話し方だ。もうすでに
社会人としてひとり立ちしている、女性と呼ぶべきか?
テレフォンアポイ・・・なんだぁ?舌をかみそうだ。
要するに、電話勧誘してるわけだ。そう言えば、たまに
何かの売込みで電話がかかってくることがあるなぁ。
なるほどぉ、だから大人びた話し方をするんだ。
この間とは、まるで違うんだもんナ。びっくりだょ。一体
どっちが、ホントのteikoさんなんだろう。あれれれ、
さんなんて付けちゃった。


“それにしては、楽しげに話しこんでた
じゃないか!”
心の中で、bokuはいてた。しかし
口にすることはできない。あの時bok
uは、眠っていたのだから。
「でもね、傷つけるわけにはいかない
じゃない。お二人のお友だちに悪いし
ね。わかってもらえる?帰り、狸寝入
りしてたでしょ?私、すっごく気にして
たのょ。」

何もかも、お見通しってわけだ。それ
にしても、まだ確か、17歳だょな。見
えないょ、マジで。
それに、馴れ馴れしくしすぎるょ。デー
トってわけでもないのに。えっ!?ひょ
っとして、これって、デートなわけぇ?

「ねぇねぇ、こんどぉ、二人で行こうね
ぇ。ということでぇ、今日わぁ・・映画
にしない?どんな映画が好き?なん
でもいいょ、teikoわぁ。」

bokuの返事を待つことなく、teiko
は手を取って立ち上がった。渋々、
bokuも立ち上がったけれど、内心
では笑いを噛み殺すのに精一杯だ
った。正直、嬉しかった。
bokuにしても、teikoのようにグイ
グイと引っ張る女の子は初めてで、
新鮮だったから。いやいや、本音で
言うと、好きになっていた。
「ククク・・・、どっちがいい?どっちでも、
bokuさんのお好きな teiko になって、
あ、げ、る、ふふ・・」
上目遣いで、bokuをからかう。

体が、カッと熱くなったような気がする。
“しっかりしろ、オレ!”

「別に、お詫びなんて・・」
「だってさ、気を悪くしたでしょ?S君と
仲良く話し込んだりしてぇ。」
「そ、そんなことあるわ・・」
「いいの!わかってるからぁ。」

teikoの指で、bokuの唇がふさがれた。
ビックリしたけど、なんだか甘い香りがし
た。

「そっちに移るね。」
突然、teikoがbokuの隣に移ってきた。
そしてピッタリと、体をくっつけてくる。さ
っきの甘い香りが、bokuの体全体を包
みこんでくる。

「bokuさんね、タイプなのよぉ。S君はね
だめぇ!どうもね、あぁいったナヨナヨ系
は生理的に受け付けないのぉ。」




愛しき人ょ、ぼくは君に何を与えよう。

この燃え盛る胸の炎を君の胸に?
いやいや、その炎は、
冷たく閉ざされた氷の心をきっと溶かし、
君に火傷を負わせることだろう。

溢れ出る生命ちの水を君の唇に?
いやいや、その水は、
硬く閉ざされた鉄の堤をきっと突き破り、
君を溺れさせてしまうことだろう。

ほとばしる愛のことばを君の耳に?
いやいや、そのことばは
頑なに悪魔の声を聞く蝸牛を壊してしまい
君を無音の世界に追いやってしまう。

愛しき人ょ、ぼくは君に何を与えよう。

君の求めるもの、全てをぼくは与えよう。
この生命ちを!と言われれば、
喜んで我が胸に恋の剣を突き刺すだろう。

だけど、
これだけは言わないでおくれ。
それを聞くや否や、ぼくは
地獄の、真っ赤な業火の中へと落ちる。

“私の前から 消えて!”

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€ € € € € € € € € € € € € € € € € € €

むせかえるタバコの煙りに
そっと涙を流す 少女

朝の海辺に流れ着いていた
貝がらを

少女はひとり見つめ
又涙を 流した

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teiko!

あの日から、まだ一週間と経っていないのに、もう、ひと月もふた月も
会っていないような気持ちだ。
あの日のことを思い出すだけで、胸がドキドキする。初めてのことだ。
何もかもが、初めてのことだ。

“甘美”
言葉としては、知ってはいたけど・・。
“妖艶”
teikoのために、造られたことば・・。
“ウブ”
bokuのために、用意された・・?

何という映画だったっけ?忘れちゃったょ、ほんとに。と言うよりは、
観てなかったような気がする。
「どうして?」なんて、言うのかい?
こっちこそ、“どうしてbokuの手を握ったの!”って、言いたい。
細い指がbokuの指にからまり、まるで蛸の吸盤のように吸い付いて
きた。ごめん、ごめん、表現が悪いね。でも、まったくそんな感じだ。

あったかい手だった、ホントに暖かい手だった。
手が冷たい人は心が温かく、手が暖かい人は心が冷・・なんてこと、
teikoに限って!
teikoの携帯に電話をすると、
「只今電話に出ることが・・・」と、流れてくる。

「boku、です、連絡ください。」
でも、teikoからの返信はない。メルアドを聞
いていないbokuは、ひたすら電話をかける
しかない。

“天にも昇る”と言うのは、こういうことなんだ
ろうか。何ていうか、気持ちがウキウキして、
つい笑いが漏れてしまう。リズム感というか、
音楽らしきものが、体中に溢れてる。
無意識の内に、手足で小さく小刻みにリズム
をとっている。

「ごめんねぇ、何度も電話をくれたのょねぇ。」
「う、うん。」
耳たぶが熱くなっていくのが、わかる。きっと
顔が赤くなってるだろう。

「研修中でさぁ、電話禁止だったのぉ。夜は夜
でね、研修生同士のアレでね。とに角、ごめん
ね。お詫びにさぁ、お部屋のお掃除してあげる
から。この間、約束したでしょ。」
「えっ?!あ、ありがとう。」
「お掃除しちゃ、だめょ。キレイニなってたら、私
帰っちゃうからね。」
「う、うん・・」
とに角もう、握られた手が気になって、まるで
映画を観ることが出来なかった。

「あんなこと、おかしいょねぇ。造りすぎって、
感じだね。」
bokuの耳元で囁くのは、もう止めて!boku
心臓が破裂しそうになった。甘い香がbokuを
包み込んでいく。甘い香にbokuは縛られた。

teikoと食べた、屋台のラーメン。絶品だぁ!
あんな美味しいラーメン、初めてだ。

「お二人さん、お似合いのカップルだね。」
お世辞だとわかっていても、顔がニヤけてしま
う。
「やだぁ、おじさん、ったらぁ。」
そう言いつつ、teikoがbokuにしなだれてき
た。bokuの心臓は、臨界状態だ。バクバクの
状態だ。
胸の膨らみを、はっきりと感じたんだから。

それからのことは、正直あまり覚えていない。
公園のベンチで、話し込んだような気がするん
だけど、あやふやだ。

別れ際に、
「目を閉じて・・」と、teikoに言われた。
“ひょっとして?”
淡い期待を抱いたbokuに、teikoは・・

柔かいものが、唇に触れてきた。

「また、こんどね・・」
「うん・・・」


遠足の前の晩、興奮して眠れない。
早く寝なければ、と焦れば焦るほど目が冴えてくる。
このまま起きていよう!と決意しても、結局はいつの
間にか眠ってしまった。

掃除したいのに、キレイにしておきたいのに、だめ!
部屋の中を、檻の中をうろつく熊さながらに、・・・。

大丈夫だろうか、迷わないだろうか。
バス停まででも、迎えに行けば良かったろうか

“コン、コン、コン、コン・・”
杞憂に終わった。
teikoが、来た。

ひと通り掃除が済んで・・
戦い済んで、日が暮れて・・

薄暗くなった部屋の中で、bokuは放心状態にいた。
ベッドの端にふたりして座り、bokuはされるがままだった。
teikoはbokuの指を、んでいる。指を絡ませあいながら
時折上目遣いで、boku反応を確かめている。

「bokuちゃん、女性を知らないんだ?」
嬉しそうに、bokuに話し掛けてくる。bokuは、返事ができ
ないでいる。


オ レ 何の為に生きているかと聞かれても、答えようがない。
    唯、満足のいく作品を創り上げたらー小説・詩とは限ら
    ないけど、とに角その時は、死ぬ。 
boku 自殺・・と言う意味かい?
オ レ かもしれない。違うかも、しれない。創り上げる前に、年
    老いて、果てるかも?
boku そうか・・じゃ、その時が、このbokuの終わりだね。
オ レ 君には申し訳ないが、そういうことになる。
boku それは、弱ったナ。死にたくない!とダダをこねるかもし
    れないョ。といって、君だけが死ぬわけにもいかないし。
    第一、bokuが生きてたら、きっと君は復活するだろうし。
オ レ ホントね申し訳ない。
boku じゃあ、今の内にね青春を謳歌しておくかぁ。来たるべき
    日のために。
オ レ ・・・・・
boku フフフ、わかってるょ。それも、いけないんだろう?君は、
    bokuがピエロになろうとすると、嫌がるね。bokuが溺れ
    てしまうからかナ?それとも、君自身がそうだからかい?
    ま、いいサ。でも、ひとりの人間が二つの独立した人格を
    持ち、双方共にその存在に気付いているというのは・・。
オ レ 思うに、誰もがそうだと思うょ。自問自答、それを意識する
    か、しないか、そういうことじゃないかナ。
boku なるほどね・・


飲み干されたグラスに
なみなみとワインを注いでも
それは 以前のワインではない。
まったくの、新しい、ワイン。

地球は回転しても、人間は前進する。
待つも良し 去るも良し。
€ € € € € € € € € € € € € € €

闇夜 蒼い月に吠える
われた音をがなる 
壊れたトランペット

街角の騒音にも似た 
その音に
マッチ箱の家々に 
灯りがともる

一家団欒の始まり
 笑いが弾ける
 そして 月の微笑

         ━ 壊れた玩具 ━


時と言うものは、本当に残酷なものだ。
確かに願いは、した。時が癒してくれると、信じもした。
でも、こんなではないと、思っていた。もっと、もっと・・

矛盾 ━ そうなんだょ!確かに矛盾なんだ。bokuの体の
中を、頭の毛先から足の指先まで、全て矛盾だらけ・・・・
体中を走り回っている。

teiko
何だったんだ、一体。
後ろめたさを抱いていたbokuだったサ。
確かに煮え切らない、bokuだったサ。
溺れちゃいけない、溺れちゃいけない!って、いつも心の
中で呟いている、bokuだったサ。

teiko
何者だ、君は?
17歳なのかい?本当に。
「いいタマ、だぜ、あのteikoっては。掛け持ち恋愛を
してるって、ことだ。」
本当なの?友人の言は。
信じていたい、信じていたい。信じてて良いんだょね。

¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿ ¿

信じていた、と思っていたことが、実はそう思い込もうと
しているに過ぎなかった、と知った。
ずっこけて・・虚脱感。

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?

そうさ、君は
 甘い口づけで僕に 春を呼んだ
 その密の香りで僕の体を包み
 歓喜の世界へと 導いたょ


・・・
俺は知らなくても良かった
無垢なまゝでも 後悔はしなかったろう

何よりも俺は 自由が欲しかった


そうさ、君は
 俺の卑屈な心を和らげ 素直さをくれた
 俺の幼い心を開かせ 大人の心をくれた

そうさ、君は 
 俺の心から自由を奪い取ってしまった
 俺の心の全てを 君は埋め尽くしてしまった

あぁ、そうだょ
 何をするにも まず君のことを考えてしまう

だけど、だけれども
 何よりも俺は 自由が欲しかった

だから今
憎いほどに愛してる君を、今、今、殺したい!

                          =kill you=

        白いタバコの煙りが
        朝の光に とけこんで
        枯れていたのは 窓辺のリラ
         
          犬の遠吠えの 哀しい色に
          太陽の目覚めが 始まる

        その夕べには      
         窓辺のリラも
         実を付けるだろう

        水たまりの中で
        冷たい風に吹かれ
        小さくなっていたのは 青空

        マロニエの並木道を 今日も又
        若い二人は 歩いたのです
 
        月は冷たい眼鏡で見ることなく
        その夜だけは 雲に
         隠れることでしょう


wail 告 白