のあたしは 恋人と友達との区別ができなくて
ハッキリ割り切ることができなくて、ずい分自分の
行動範囲をせばめてるって気がする。

あなたの言う 『二十歳の壁』 それ多分にあると
思うのょ。だからこゝ何通かの手紙、たわいない日
常のことしか並べてないでしょう?
あなたへの正直な気持ちを自分に問うこと、そして
それを文字にすることがこわいの。
もちろんあなたが退屈するだろうとは 思う。
この交際にもっと夢を持たせたいと思う。そうしなくちゃいけない、
と・・・・・

何故って 一度も会ったことのない二人は、あたしの解釈からして
現実を否定してるってことだから。
現実を否定するってことは その他あらゆる場所・場合・etcにおい
て 完全に自由なんだから・・・

じゃあ、自由って ナァーに?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何ということはない。
この俺が 人間失格 だということだ。
もう考えるまい、めさがますだけだ。
敗北者はいやだけれども、これ以上の
惨めさは たくさんだ。

ツルゲーネフが、トルストイに与えたことば
は 汝の道に かへれ”
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
独立した私の部屋には、CDコンポがあります。
ベッドがあります。冷蔵庫も、洗濯機も、あります。
大変、嬉しいです。
その上に、エアコンさえも取り付けてあるのです。
私は倖せ、なのでしょう・・

でも私は、寒いのです。

全てが整いすぎていて それが為に私は、
人とのコミュニケーションを失くしているのです。
全てが、私の部屋で完結するのです。

私は、いつも寒い思いをしています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あなたからのお便り、机の上であたしの帰りを一番待っていてくれた
ようで、とても嬉しかったです。

でも、なんだか変ね、あなたがあたしのことを「あなた」なんて書いて
あるの。今まで 何十通になるかわからないけれど、初めてみたい。

会わなきゃ、いけないのかしら・・
あれほどに “会いたい・・”って思ってたあたしが、今になると・・

二人は会うかもしれない。いいえきっと、会うんだわ。何もかもが全て
終わってしまうかもしれないのに。

お部屋の新入生が言うの。
「会わない方がいい!会って終わりになる人だったら、その人が可哀
相ょ。」って。
こうも言うのょ。
あたしにこうして長い長〜いお手紙を下さること、あなた自身の慰めな
のだと思えるから、あたしはあなたとお別れしちゃいけないんだって・・

ホントにそう?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「君は親の決めた人と一緒になって、小さな幸福を
大切にして行く人だ。へたに恋愛なんてしないことだ」

この前ばったり会った高校時代の先輩が そんなこと
言ってました。

『お互いが お互いを 必要としない』
今朝からそんな言葉が 頭にこびりついていて 何か
変なことを 言い出しそう・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現実・現象を問題の焦点にせず、内在した本質・実体に光をあててのぞいている俺
「愛してる?」
「勿論さ!」
「愛してる?」
「勿論さ、何度聞く!」
「愛してる?」
「・・・・・」
「愛してないのね。だから 答えてくれないのね!」
「うるさいなぁ!愛してるよ!!」

慰めを求めているのか、拒むのか・・・。
今の俺、たゞ無茶苦茶に、既定観念を壊したいぃ!
あゝ、いっそのこと・・それができたら、苦労はしない。

こんな不安定な僕でも、会ってくれますか?

会ったとして、真実を話せるかどうか・・
自身が、わからなくなってる のに・・







 未来の不幸を見るよりは
   現在の 小さな不幸を
       見ておきたい

        夏目漱石 著
         「こころ」より



µµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµ }

「どうしてあなたを疑わなかった・・」
そうおっしゃるのですか?
おそらく来てはくだらさない、そう、お約束した折に
すでに感じていました。

いいえ。決して、もしかしたら・・という甘い考えで
待っていたのではありません。
自身を、悲劇のヒロインにしようとしていたのでしょうか。

この私にとっては、あなたの意思に関わらず、あなたを
信じることから始まるのです。
「あなたを信じている・・」
そんな私が居るから・・・、いえいえ、そのような状態を
作り出すことによってのみ、
私、生きていられるのですもの。

精神の自由なくして、生存はありませんわ。
待っていて、当たり前ですわ。
{ µµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµµ }

あなたって人は、もう!
なんて手紙をくれるのかしら!プンプンよ!
まるであたしが出したような手紙を送ってきて。
まるであたしの心の中を見透かしている・・・

でも、最後のことばだけは あなたの本心なの?

「ぼくたちは サヨナラ を使っちゃいけない」
「サヨナラ なんて、異国語は要らない」

心の友だち?恋人?
一人ぽっちって そんなに 耐えられないものなの?
ひとりぽっちって こわい?

家族がいて 片想いでも 恋しい人がいて
たくさんのお友だちがいて・・・
でも あたしはひとりぼっち?

会ったことも 声を聞いたこともないあなただけれど
淋しいとき、悲しいとき、うれしいとき、
いつでも思い出して 安らぐの。
おかしい?

「サヨナラ」を言っちゃいけないのは、ひとりぼっちに
なるのが こわいから?
不思議な人ネ、あなたって・・・

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ひとり暮らしの、ぼくです。
一人であることが、すっごく嬉しい!でも、不安もかくせない。

動じやすく、ろぎやすい心が、はっきりわかる。
昼と夜で、どうしてこんなにも・・・

胸に
やるせなさというか、かきむしられるというか、やっぱり
人間の孤独感と、それに必死に対抗しつつ、一本のにしがみ
つこうとしているのを感じた。

秋の晴れわたった空の下で、刈り入れ後の干草にもたれ掛って
君と二人並んで、本を読んだり話をしたり、していたい。




ako!

君には 随分と虚勢を張ってきた 気がする。

“モテモテの僕ですが・・”
“ナンパ率 100%です・・” だとか。

全部嘘だ とは言わないけど、そのことで 
随分と君を 苦しめてきたような気がする。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

星が流れる 浜辺でひとり
風が囁やく 浜辺でひとり

遠い神代に芽生えた 恋の花
探し求めて さ迷う僕を 
君は 知らない・・・

帰っておくれ この胸に
張り裂けそうな この胸に
幸せの花を捧げる この胸に。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今、ことばを 忘れてしまった・・・
今、為すを 失った・・・

ただベッドに座り、ぼんやりと窓の外に見入っている
小説を書く気にも なれずに・・・

kakoに恋したこと 素直に 唯々 嬉しい。
自身が男だと いうこと・・・ 唯々 うれしい・・

一生を、一生を、酔いしれる青年でいたい・・

**********************



“恋”
そう名付けたいが為の 努力
見つめること わずかな会話の時と 微笑と・・・
「まじめにお付き合いを考えるとき、あなたはホントにいい対象です」
━鏡の前で 四苦八苦していたあの人が
 「結べる?」って、急に顔を近づけてきた時のこと。とまどうあたしに
はにかんで笑った真っ白い歯が印象的でした。
頼もしさ やさしさ きびしさ・・ ごく自然に私の心をうずめていく影

“恋”
そう名付けたいが為の 努力
今は そのために生きているみたいです
彼はいつも 私を高校生並にしか扱ってくれません。
だから ついつい反抗的になってしまいます。彼はそんなあたしを
反抗期だから・・なんて 藁ってすませてしまいます。でもあたしは
知っているんです。
彼の理性が あたしの感情をくいとめようと努めていることが、とても
よくわかるんです。

彼の理性と あたしの感情との 競い・・・・・


“疲れるから”ってことを口実に、お手紙をのばしのばしにしてきました。
書きたくないのじゃなくて、書けないだけ。書いている今でも、他のことに気が散って
しかたありません。
小説をお返しするため・・・ホントにそれだけの理由で、机に向かっているのかもしれ
ないんです。
あなたにすまないと思います。どうしてもっと優しい気持ちになれないのか・・・

“見守ってあげたい・・”
“見つめていたい・・”

手紙を前に すっかり黙りこんでいる自分がわかりません。
時に顔を上げて 鏡の中にいるもう一人のわたしを見つめてみます。久しぶりにお化
粧をしているのにまるで 元気がありません。とても淋しそうな 目の色です。

たとえ支離滅裂であったにしても、そこにあなたがいて、わたしはそれが好きです。
サヨナラを言ってほしいのは わたしのわがまゝ。あなたについていけそうもないこと
が わたしを逃げ腰にするのです。

“かわいそうな奴だと思ってください。そしてそんな俺のことを 恨んでください・・・”
いつもこんな風に、あなたはわたしの弱点を射てしまうのですね。
口論ではとてもかなわない。あなたの腕の中で どうすることもできないわたしの方
が、余程かわいそうです。そうは思いませんか?・・・

********************
過去は 壊れてしまった 時計
想いはすべて過去となり 駆け上がってしまった
白い階段の いまにも崩れ落ちそうな
弱弱しさとは 別れたかのように
暮色に しずむ

過去にしてみれば
想いは ないのかもしれない
いまにしてみれば
想いは すべて未来




 素敵な良妻賢母になる
 つもりだったのに どうもそうじゃない
 みたいです。だんなサマはまだ
 学生。二人とも若すぎて苦労してます。
 あなたのご健康とご多幸を
 お祈りいたします。
         元旦       


Kako!

とうとう 別れが来てしまった
桃源から 現世へと 移り住んだんだ

“あたしがあなたにしてあげられることがわからない”
“・・・そんなものは ありはしない・・・”
“あなたが好きで必要としているのは手紙の中のあたし”
“そしてあたしが好きなのは手紙の中のあなた”
“小説や詩を愛しどうしても行動に移せない未熟でかわいい青年”

そうかも しれない。すべてkakoの言うとおりかもしれないネ。
でも、一つだけ言わせてほしい。
kakoだけなんだょ、kakoだけに ぼくは臆病なんだ。








恋に恋した kako だったんだね。
それとも ぼくのことが 忘れられなくて・・なんてのは・・

“会っても いいょ”

kakoからの 誘いのことば。でもぼくは京都へ行くことは
なかった。
違うょ、今でも kako は 大好きだょ。でもそれは、今の
kakoじゃない、と思う。

kakoはもう 忘れているのかもしれない。
桃源の地で遊んだkakoを、kakoは忘れてしまってる。
ぼくはkakoの愛らしさを知っている。
他の誰かが kakoに愛らしさを見出したとしても、ぼくと
同じにkakoの美しさを見つけることはないだろう。

もし万が一にも 他の誰かが、それを見つけたとしたら
僕と同じに愛したら最後、ぼくのように なるだろう。


            
 あふれる愛が とめどもなく
     ほゝを濡らす その夜明け 

 海と夕陽がとけあって
      二つのこころを あわせ

       夜の中に 消えていく


wail 告白 (番外編)