この口紅は あなたの味がする
藤棚の下での あなたとのファーストキス
忘れられないメモリーです
この口紅で あなたを想うのです
わかれのときに あなたがくれたくちづけ
わすれられないメモリーです

 あなたはいま どこにいるのでしょう
 ここにいるあなたは あなたじゃない
 きょうのあなたは きのうのあなたじゃない
 あすのあなたは どんなあなたなのでしょう

 わたしを抱いて離さないあなた
 あなたの腕枕は わたしを雲上に誘ってくれました
 あなたの鼓動は わたしを眠りに誘ってくれました
 あなたに抱かれることが なによりの悦びでした

あなたがくれた口紅
あなたがくれたリップスティック
あなたがくれた愛の証し
このリップスティックはあなたの匂いがする
このリップスティックはあなたのあじがする
このリップスティックは……あなたなのです


わかっています あなたの想い
でも少しだけ 待って
もう少し このままでいさせて

 あなたの胸は あたしのベッドなの
 あなたの腕は あたしのまくらなの
 あなたの笑顔 きのうまではあたしのもの
 あなたの笑顔 あすからはあのかたのもの

わかっています あなたの希み
あなたの止まり木は もうあたしじゃない
あたしの寄る辺は あなたじゃない

でも でも……

 待ってていいかしら? あなたのお帰りを
 待ってていいかしら? あなたの笑顔を

 空に白い雲が 急ぎ足で流れています
 海に白い波が さざ波立っています

あなた、あなた、あたしだけの、あなた……