童話 編


夢の動物園
真っ青なお空です。
お日様が暖かい日にしてくれました。

実優ちゃんと宗亮くんが
動物園へのお出かけです。

牛さんが大きな声で鳴いています。
実優ちゃんを呼んでいます。

牛さんが言いました。
「ママのおっぱい、好きですか?」

実優ちゃんが言いました。
・・好きだよ。

でも小っちゃな声だったので
牛さんには聞こえませんでした。

牛さんがもう一度聞きました。
「ママのおっぱい、嫌いなの?」

今度は大きな声で実優ちゃんが答えます。
「大好きです!
でも今は弟の宗亮にあげてるの。


「そーかい、そーかい。
実優ちゃんは、優しいんだね。」

「牛さん、どうして?実優ちゃんのお名前知ってるの?」
不思議がる実優ちゃんです。

「そりゃ知ってるさ。
みーんなの名前を知ってるよ。」

「じゃあ、宗亮の名前も?」

「もちろんだとも。
遊びに来てくれる子の名前は、みーんなね。」

「すごいんだね、牛さん。」

「えっへん!すごいだろう。」

牛さんが、ぺろりと宗亮くんをなめました。
びっくりした宗亮くん、大泣きです。

実優ちゃんが牛さんに言いました。
「宗亮をいじめちゃだめ!
よしよし、もう怖くないからね。」

牛さんが、大きく頭を下げて謝りました。
「ごめん、ごめん。
驚かすつもりじゃなかったのに、ほんとにごめん。」

実優ちゃんが、宗亮くんの背中をトントンと軽く叩いてあげると
宗亮くんは、すぐに泣き止みました。

「あのね、宗亮。牛さんが、おはよう!って言ったんだよ。」
実優ちゃんがそう言うと、宗亮くんは、にっこり顔になりました。

「実優ちゃん、わたしのお乳は飲んでるかい?」
牛さんが、尋ねます。

実優ちゃん、にっこり笑って言います。
「飲んでるよ、美味しいね。
でもね、実優ちゃんよりお父さんの方が、たーくさん飲んでるよ。」

「そうかい、そうかい。
お父さんも飲んでくれているのかい。
それじゃ宗亮くんも飲んでくれるかな?」

「大丈夫よ、宗亮も好きになるよ。」

牛さんと別れて、ベビーカーを押している実優ちゃんです。
“ツンツン”と、お尻を突付かれました。

びっくりして後ろを振り向くと、
赤いとさかが立派なニワトリがいました。

「キャッ!」と、
実優ちゃんが声を上げると
ニワトリさんも
「コケッ!」と、声を上げました。

たくさんのニワトリさんたちが、集まってきます。
あっという間に、囲まれてしまいました。

「ワアーッ!」と泣きながら
ベビーカーを押して駆け出す実優ちゃんです。

たくさんのニワトリさんたちが、
実優ちゃんを追いかけてきます。

「えーん、えーん!」と
宗亮くんも泣いています。

牛さんが、ニワトリさんたちに言いました。
「実優ちゃんたちをいじめちゃだめだよ!」

ニワトリさんが言います。
「ごめん、ごめん。かけっこ競争かと思ってね。」

「それじゃ、鬼ごっこしようか?」
実優ちゃんの提案で、みんな大喜びです。

鬼さんになった実優ちゃんから
一生懸命逃げ回ります。

ニワトリさんたちの足が速いので、
とうとう見失ってしまいました。

「うわあーっ!」
宗亮くんが大声で叫びます。

泣き出したと思った実優ちゃん
慌てて宗亮くんの所に戻ります。

でも宗亮くん、にこにこ顔です。
宗亮くんの紅葉のような指先に、実優ちゃんもびっくり!

「きれーい!」

そうなのです。大きく羽を広げた孔雀さんが
実優ちゃんと宗亮くんに挨拶をしていたのです。

「こんにちわ。実優ちゃんと宗亮くん。
わたし、きれいでしょ?」

「うん、うん。」
大きく頷くふたりでした。

孔雀さんは、更に大きく広げて
得意満面です。

奥に居た孔雀さんもやってきました。
「ねえ、ぼくも見てよ!きれいだろう?」

「 うん、うん。」
大きく頷くふたりでした。

すると隣の部屋から、
バタンバタンと、大きな音がします。

たくさんのお猿さんが、
木から木へと飛び移っていました。

「ぼくなんか、宙返りができるんだぞ。」
空中で体をクルクル回ってみせます。

やんちゃなお猿さんたちが、
みんなで木から木へと飛び回っています。

「すごいね!」と、
目を丸くする実優ちゃん。

「パチ、パチ!」
宗亮くんが手を叩いて喜んでいます。

「キーンコーン、カーンコーン。
閉園の時間になりました。」

どうやら、
夢の動物園が閉園になるようです。

実優ちゃんと宗亮くんのお昼寝が終わり
おやつの時間になりました。

「いただきまーす!」