［ テーマは、愛 ］

涙のような、透き通る、月光の下　佇む、女

　僕と、ワルツを踊りませんか？
　俺と、ランバダしょうぜ？
　私と、ひと舞いしませんか？

小さくお辞儀をして、断り続ける貴女。ぼくを待ち続けてくれる・・
でもぼくは、貴女に応えることはできない。
貴女を踊りに誘うことはできない。


涙のような、透き通る、月明かりの中に　どうしてあなたは　
入ってくださらないの？

　私　お待ちしてますのよ。
　私　踊れなくても、ちっとも構いませんことよ。
　私　唯あなたとふたりで、居たいだけなのに。
　あなたの、生命ちの息吹を感じる・・
　それだけで　幸せなのです。

いやいや、だめだ・・・
ぼくには、できない・・

いいんです、
私、あなたと同じ、・・・に、なりたいのです。


だめだ・・・
貴女を、こんな闇い世界に引きずり込む
ようなことは、できない。
貴女を、不幸にすることなんて、
できやしない！
不幸、だなんて・・・
少なくとも、現在ほど不幸なことはありませんわ。
あなたのお顔を見れないなんて・・、お声だけだなんて・・。
これ以上の不幸なんて・・決してありませんわ！
いや、あなたは分かっていない。
この世界が、どれほどに澱んでいるのか、が。


あなたはもう、私を愛していてはくださらないのね。
あなたはもう、私を煩わしくお感んじなのね・・・。
何を今さら。
この世に君ほどステキな女性がいるものか！

あなたはもう、私を愛していてはくださらない・・・
あなたはもう、私を煩わしくお感じなのよ・・・

お願いだ！
もうそんな疑惑は止めておくれ。
気が狂いそうだょ。


あなたは、いつもそう。
決して、“愛してる！”とは、言ってくださらないの。
どんなにそのお言葉を願っても、
あなたはいつも、口を閉ざされる。


あなたには、ぼくの愛がどんなものか
分かっていない。燃え盛っているこの愛は、
言葉では伝わらない。
どうしてあなたは・・
わたしがあなたのお心の中に入り込もうとすることを
それほどまでに、拒まれるの？
やはりほんとうは、私のことがお嫌いなの？・・いえいえ
やめておきますわ。決して、疑ったりしません。
いつものように、唯ひたすらにお待ちしますわ。



涙のような、透き通る、月明かりの中
あなたはきっと、
もう若い女ではなく、しわの増えた中年女を
そしてその後、年老いた老婆を、見つけられますわ。

いえもう、月はきっと見向きもしないでしょう。

薄暗い隅の方に佇む私を、見つけられるでしょうか？
この、冷たい銀の椅子に座っている、私に、
・・・気が付いてくださるかしら？・・・
あゝ、美しのオフェリア！
あゝ、愛しのオフェリア！
あゝ、哀しきオフェリア！
君はとうとう、このぼくの心の中に
入り込んでしまった。
そして住みつこうとしている。

崩れる、崩れる、崩れてしまう・・・
銀の搭が、崩れ去る・・

黄泉の世界の扉が、
今、開かん！